後輩Y君の恋のお話

私がまだ音大生だった頃。会えばそれなりに会話を交わす、男の後輩Y君がいました。

彼は外見に無頓着で、大学生で現役合格にも関わらず若さがなく、もうちょっと着飾ってもいいのでは・・・というような外見。そんな彼に、恋の話を持ち掛けてみたときのお話です。

見たままを見る彼

後輩Y君は、勉強や音楽の成績が優秀。おしゃれ真っ盛りの22歳にも関わらず「服なんて5年は買ってないですねｗ」と言い、これまで勉強や音楽に情熱を注いできたのだろうと想像できました。

勉学が優秀な一方、「物事を見分ける力」や「本質を見抜く力」が欠けている、それが後輩Y君です。恋について語っていたこの日、彼にしては珍しく、少し本質に踏み込んだような発言をしてきました。

後輩Y ：僕ね、人の性格は顔にでると思うんですよ。
私　　：ほう！なるほどね、それは私もそう思うよ！
後輩Y ：やっぱ、性格がいい人は顔も可愛いし、性格が良くない人は美人ではないだろうなって。
私　　：…なるほどね。で、じゃあ実際それで、誰かかわいいと思う子がいるの？
後輩Y ：…Tちゃんですね。おとなしくて品があって、やっぱ性格いいだろうなと思います。

私　　：…。

顔立ちと顔つきは異なるって知ってる？

さて。

この会話で出てきたTちゃんについて。皆さん、もう想像できたのではないでしょうか。このTちゃん、とんでもなく美人さんです。美人だけでなく可愛さも兼ね備えており、顔のパーツは最強の黄金比。彼女に初めて会った人は口を揃えて「かわいい」と絶賛する女性。それにTちゃんは確かに口数は少ないけれど、間違いなく彼女は彼が思い描いているような女性ではありません。

後輩Yよ、君が見ているのは彼女の「顔立ち」です。顔の造形は遺伝要素であって、性格を表すのは「顔つき」。ついに後輩Yも本質を見抜けるようになったのか・・・！！！期待しましたが、あっけなくただの期待に終わりました。

上辺だけを見て判断してはいけない

とは言ってもこのTちゃん、確かに魅力的な女性なのです。

大勢の前では口数は少ないけど、親しい人の前では、上品どころか大胆で、チャーミングで、ちょっぴり抜けていて、でも負けず嫌いで一生懸命で、おとなしい要素などゼロ。彼女の本当の魅力は、Y君が思っているようなところでは決してありません。

美人の魅力はほんとに顔立ちだけでしょうか。人を顔立ちだけで想像して判断している人って意外といるように思います。

美人の魅力は顔立ちだけでは成り立たない

SNSも、TVも、顔立ちが良ければファンがつきがちですが、顔は整形できても（整形したらしたで叩かれる）、心は整形できません。心根が顔つきに現れる以上、性格に歪みがあれば、年齢と共にそのいびつさが顔に現れて、ブスな「顔つき」になり、反対に中身が素敵な人は、美人な「顔つき」になってきます。

どうして生まれ持った顔立ちが良いだけで、それが絶対的な価値のように扱われるんだろう、不思議だなと思います。他にも価値があるものをそれぞれ身につけているはずなのにね。

「性格は顔に出る」って、顔立ちの話ではないからね

でも、そんな世の中で、やっぱり「かわいい」に憧れや捨てきれない想いもあって、メイクとか頑張っちゃう。頑張ってれば、「顔つき」が美人になって、普通→ちょっと美人かも？ぐらいにはなれると信じてるので。美への憧れは、この先も一生なくなることはないと思うけど、それ以上に大切なことを見落とさないように生きていきたいです。

後輩Y君には、「性格は顔に出る」この正しい意味を 顔立ちの話ではないぞ！と、今度会った時、何年越しかわからないツッコミを全力で入れつつ、伝えようと思います。

*画像：本人私物　＊記載は本人の感想になります。

小谷りな

(公式meikライター研究生*B#）

https://note.com/asumin_msk