年頃の女の子が自分の存在価値を確認したくなるのは自然なことだと思う。ちやほやして欲しいわけじゃないけれど、自己肯定感を満たす何か。それを見つけられたらきっと幸せ。声楽家を仕事にして生きているアラサー女子の学生時代の話です。
ブスだと言われて育ったわけじゃないし、いじめられていたわけではありません。
両親や祖父母からもたっぷり愛情を受け、容姿を貶されることもなく自分がブスだなんて思っていたわけではなく。後輩からは慕われていたし、告白されたこともあります。
ただ、隣にいる友達が可愛すぎました。
年頃の女の子が人との関わりの中で自分の存在価値を確認することは、そんなにおかしな話ではありません。美人の友達ばかりが時別扱いされるのが、何となく苦痛で。徐々に自分に自信が持てなくなり、自分には個性がないから興味を持ってもらえないのかも、とか、そんな風にも思っていました。
小学校、中学校、高校、大学、私の隣には何故かいつも美人の友達がいました。
美人は男女問わず人気者です。私が隣にいたとしても、みんな決まって美人の友達だけに話しかけ、おまけの気分で学生時代を過ごしました。
私と二人きりになった時でも、その美人の友達についての話しかいない人も少なからずいて。今あなたの前にいるのは私なのに、私については何も聞いてくれないんだね、と、いつも心が小さく痛んでいました。
ちやほやして欲しかったわけじゃないけれど、自分はこの場にいながらいないような、ジワジワと自己肯定感を消されていくような感覚。そうした日々の中で学生時代を過ごしました。
美人の友達が隣にいても、1つだけ私が特別になれる時間がありました。それは歌う時。
小さい頃から歌えば大人にも友達にも注目され(…らしいけど、小さすぎて覚えてません。)、カラオケに行けば今まで美人の友達にしか興味のなかった男先輩達は驚いた顔をして私に注目したし、動画を撮られるのも当たり前で、わざわざ私の歌を聴きに来られたこともあります。
ちやほやして欲しかったわけじゃないけれど、歌が少しだけ私を特別にしてくれました。
この話にオチがあるわけじゃありません。
ただ、自分に歌がなかったらどんな人生だったんだろうと、声楽を仕事として生きている今、振り返ってみただけです。
自己肯定感が低かった青春時代を歌が肯定してくれました。歌があったから毎日楽しかった。思っている以上に、歌は私を構成する一部になっています。歌っていない自分は想像できません。
トップを争う歌手になれなくてもいい。
ただただ、歌うことが好きで、歌い続けられる毎日が送れたら幸せな人生だと思うのです。
*画像:本人私物 *記載は本人の感想になります。
(公式meikライター研究生*B#)
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